自動車整備業における従業員数は,近年ほぼ横ばいですが,自動車整備要員の有効求人倍率は上昇しているため,人手不足の状態です。
また,少子化や若者のクルマ離れが進んでいることや,職業選択の多様化により自動車整備士を目指す若者が減少していることも,人手不足の要因となっています。
近年,国内人材を確保するための取り組みや,生産性を向上するための取り組みがなされているところですが,人材を確保することが困難な状況です。
この背景を受け,特定技能外国人の受入分野として,自動車整備分野が指定されています。
ここでは,自動車整備業における,特定技能外国人の受入れについてお伝えします。
自動車整備業における外国人材の概要
自動車整備業における外国人材の受入れは,平成28年4月から,外国人技能実習制度により始まりました。そして,平成31年4月1日より,同業種の「特定技能」が創設されました。
自動車整備業における,特定技能外国人の技能レベルは,3級自動車整備士に相当します。
特定技能1号外国人材が従事する具体的業務は以下のとおりです。
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自動車の定期点検整備
道路運送車両法に基づく法定点検整備
(定期点検項目の例)ステアリング装置
ブレーキ装置
走行装置
動力伝達装置
電気装置
エンジン
サスペンション
ばい煙,悪臭のあるガス,有害ガスなどの発散防止装置
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自動車の分解整備
エンジン・ブレーキ・ギアボックスなど重要部品を取り外して行う整備または改造
(対象部品・装置の例)原動機
動力伝達装置(クラッチ,トランスミッション,プロペラ・シャフト,ディファレンシャル)
走行装置(フロント・アスクル,リア・アクスル・シャフト等)
かじ取り装置(ギヤボックス,リンク装置等)
制動装置(マスタシリンダ,ブレーキ・チャンバ,バルブ類等)
緩衝装置(シャシばね)
連結装置(トレーラ・ヒッチ,ボール・カプラ)
自動車整備業における特定技能1号の在留資格を取得するための試験
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技能試験「自動車整備分野特定技能評価試験」または「自動車整備士技能検定試験3級」
「自動車整備分野特定技能評価試験」
試験言語:日本語(必要に応じてルビを付ける)
実施主体:一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会
実施方法:学科及び実技方式 -
日本語能力試験「国際交流基金日本語基礎テスト」まはた「日本語能力試験(N4以上)」
「日本語基礎テスト」
実施主体:独立行政法人国際交流基金
実施方法:CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式「日本語能力試験」
実施主体:独立行政法人国際交流基金及び公益財団法人日本国際教育支援協会
実施方法:マークシート方式 -
第2号技能実習の修了者は,上記1,2の試験は免除されます。
ただし,自動車整備職種の技能実習を修了した場合に限ります。
特定技能外国人を受入れるために企業側が準備すること
外国人受入れ手続きの流れ,受入企業が満たすべき基準を,以下にご説明します。
手続きの流れ
雇用したい外国人の検討,雇用契約を締結する
自動車整備分野特定技能協議会へ入会する
雇用契約,支援計画,構成員資格証明書,自動車整備分野における特定技能外国人の受入れに関する制約書,地方運輸局長の承認を受けた事業場であることを証する資料等を揃えて,地方出入国在留管理局に申請する。
自動車整備分野特定技能協議会については,こちらのページをご覧ください。 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_SSW.html
受入企業が満たすべき基準
道路運送車両法に基づき地方運輸局長から認証を受けた事業場を有すること
国土交通省が設置する自動車整備分野に係る特定技能外国人の受入れに関する協議会の構成員であること
2の協議会に対し,必要な協力を行うこと
国土交通省が行う調査または指導に対し,必要な協力を行うこと
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登録支援機関に適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合にあっては,登録支援機関が,下記の(1)(2)項目に該当している必要があります。
(1)①~③のいずれにも該当すること
(2)1級または2級の自動車整備士の技能検定に合格した者,または,自動車整備士の養成施設において5年以上の指導に係る実務の経験を有する者が置かれていること
初めて自動車整備分野の特定技能外国人を受入れる場合には,特定技能外国人の入国後4カ月以内に,国土交通省が設置する協議会に加入し,加入後は協議会や,国土交通省などが行う調査または指導に対し,必要な協力を行うなどしなければなりません。入国後4ヶ月以内に協議会に加入していない場合,また,協議会へ必要な協力を行わない場合には,特定技能外国人の受入れをすることができません。
自動車整備業において,特定技能外国人の雇用をお考えの方は,精通する専門家にご相談ください。