『特定技能』について
日本で見かける外国人はみんな、日本に滞在するための「留学」や「観光(短期滞在)」、「教授(大学教授など)」などの国が許可した資格を持っています。この資格のことを一般に『在留資格』といい、この資格がないと日本に入国して滞在することはできません。
『特定技能』とは、「留学」や「短期滞在」と同様の在留資格のことです。
この聞きなれない『特定技能』の在留資格における在留(滞在)の目的は、特定の産業における「日本での就労」です。
昨今、日本の少子化にともない、人口の減少と労働力不足が問題になっています。
そこで日本では農業や製造業などの人手不足解消のために、『技能実習』と呼ばれる在留資格を持った外国人を労働力として雇用するといった現象が生じてしまいました。
しかし『技能実習』のそもそもの目的は、外国人が日本の技術を習得し母国に持ち帰って、母国発展の手助けをするための「技術移転」「国際貢献」でした。しかし、技能実習について間違った解釈で外国人を雇用した結果、「逃亡」「安い賃金での労働」「労働超過」などの問題が生まれています。
そこで、人口減少による労働力人口の減少と、外国人の労働問題の解消のために、新たな在留資格の『特定技能』が創設されました。この特定技能はさらにこまかく『特定技能1号』と『特定技能2号』に分かれます。
特定技能1号とは
「特定技能1号」は、特定の産業分野において『すでにある程度の知識または経験があり、技能を要する業務に従事することができる』外国人に向けた在留資格です。
特定の産業分野としては、深刻な人手不足が続いている14分野(介護業、ビルクリーニング業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船・船用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)が指定されています。
『特定技能1号』の在留資格で入国して働くためには、技能試験と日本語試験に合格する必要があります。
新たに創設された「特定技能」と「技能実習」の違いを下記の表にまとめました。
上記のとおり技能実習と特定技能では、求められる要件や受入の仕方が異なります。特定技能は技能実習と比べて、仕事の技術や日本語を教える時間を短縮することができるので、即戦力として活躍してもらうことが期待できます。また企業側には、特定技能の外国人に対して、日本人と同等の扱いをすることも求められます。
特定技能の外国人を雇用するためには、企業の支援体制(日常生活や社会生活上の支援、母国語対応)、や労働条件の整備が必要になり、法律による規制も厳しくなっています。
外国人雇用の選択肢が広がっているので、外国人雇用をお考えの際には、外国人法制に精通した専門家にご相談ください。