飲食料品製造業分野における特定技能外国人の雇用について,飲食料品製造業分野特定技能の在留資格を取得するための基準や,受入企業が準備しておくべきことについてお伝えします。
飲食料品製造業は,事業所数および従業員数が製造業の中では第1位であり,大都市圏とそれ以外の地域において,従業員数比率に大きな偏りはなく,地域経済の観点からも雇用と生産を支える産業として重要な役割を果たしています。
しかし,飲食料品製造業分野における労働力需給の現在の状況は,他の製造業と比べ,雇用人員不足感が高い状況にあります。飲食料品製造業分野の有効求人倍率は,2013年時点では1.48倍でしたが,2017年には2.78倍となっており,人手不足が明確にうかがえます。
飲食料品製造業分野においては,一定の範囲で目視や手作業に頼らざるを得ない工程もあり機械化の取組にも限界があること,平成30年の食品衛生法改正により,令和2年6月までにすべての飲食料品製造業者にHACCPに沿った衛生管理の制度化への対応が求められることから,
今後,飲食料品の製造現場において急いでHACCPを含む衛生管理の知識を有する人材を確保していくことが求められている状況です。
飲食料品の製造工程で衛生管理ができる人材と,飲食料品製造業における外国人労働者の状況は下記の表1,2をご覧ください。
表1 飲食料品の製造工程で衛生管理ができる人材
参考:農林水産省HPより
表2 飲食料品製造業における外国人労働者の状況
参考:農林水産省HPより
現在でも飲食料品製造業分野における外国人活用はあるものの,まだ十分な活用ができておらず,今後は即戦力として働く人材が必要となり,そのために特定技能外国人の雇用が始まっています。
1号特定技能外国人が従事する業務は,飲食料品製造業全般とされており,原料の調達・受入れ,製品の納品,清掃,事業所の管理作業なども行うことができます。詳しくは下記表3をご覧ください。
表3 対象職種・業務について
参考:農林水産省HPより
【飲食料品製造業分野特定技能の在留資格を取得するための試験】
<技能試験>
「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」
試験言語:現地語
実施主体:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構
実施方法:CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式またはペーパーテスト方式
※具体的な試験内容などについては,実施主体HP(https://otaff.or.jp/)でご確認ください。
※①「退学・除籍処分となった留学生」,②「失踪した技能実習生」,③在留資格「特定活動(難民認定申請)」により在留する者,④在留資格「技能実習」を含め活動計画の作成が求められる在留資格で現に活動中の者については,その在留資格の性格上,試験の受験資格を認めらせません。
<日本語試験>
(1)「国際交流基金日本語基礎テスト」
実施主体:独立行政法人国際交流基金
実施方法:CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式
(2)「日本語能力試験(N4以上)」
実施主体:独立行政法人国際交流基金および公益財団法人日本国際教育支援協会
実施方法:マークシート方式
<技能実習2号を良好に修了した者の技能試験と日本語能力の評価>
(1)飲食料品製造業分野において受入れる1号特定技能外国人が,必要な技能水準・日本語能力水準を満たしているものとして取り扱う場合における業務内容と技能実習2号移行対象職種において修得する技能との具体的な関連性については,下記表4をご確認ください。 この場合,第2号技能実習を良好に修了した者については,上記<技能試験>が免除されます。
(2)職種・作業の種類にかかわらず,第2号技能実習を良好に修了した者については,上記<日本語試験>が免除されます。
表4 飲食料品製造業分野における技能実習第2号移行対象職種
参考:農林水産省HPより
【特定技能外国人を受入れるために企業が準備しておくべきこと】
特定技能外国人を受入れる「特定技能所属機関」は,下記の準備が必要です。
「食品産業特定技能協議会」の構成員になること。
「食品産業特定技能協議会」に対し,必要な協力をおこなうこと。
特定技能所属機関は,農林水産省またはその委託を受けた者が行う調査に対し,必要な協力をおこなうこと。
特定技能所属機関は,登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するにあたっては,上記1~3の条件を全て満たす協議会の構成員となっており,かつ,農林水産省および協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
飲食料品製造業分野における特定技能外国人の受入れについては,外国人雇用に精通した専門家にご相談ください。