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農業の外国人雇用・就労(特定技能ビザのポイント)

農業分野における特定技能・外国人雇用のポイント

農業分野における特定技能外国人の雇用について,農業分野特定技能の在留資格を取得するための基準や,受入企業が準備しておくべきことについてお伝えします。

日本の農業分野においては,外国人の雇用が進んでいるように感じますが,農家で働く外国人のほとんどは,就労ビザで日本に在留しているわけではなく,国際貢献のための技能実習という在留資格で在留しています。農業分野の外国人労働者数は,この5年(平成23年から平成30年)で1.9倍に増加し,そのほとんどが技能実習の外国人です。農業分野の外国人材の受入れ・人手不足の状況については,下記の表1をご参照ください。

表1 農業分野の外国人材の受入れ・人手不足の状況

農林水産省HPより参照

農業分野での具体的な業務内容は,①耕種農業全般(栽培管理,集出荷・選別等) ,②畜産農業全般(飼養管理,集出荷・選別等)です。また,日本人が通常従事している関連業務(農畜産物の製造・加工,運搬,販売の作業,冬場の除雪作業等)に付随的に従事することも可能です。

農業分野特定技能の特長

農業分野では派遣形態による受入れが認められているため,派遣事業者に雇用された特定技能外国人は,複数の農業者に派遣されて業務に従事することができます。ただし,派遣先の農業者は,特定技能所属機関と同様,労働,社会保険等の法令を遵守していること等の基準を満たしている必要があります。派遣業態による場合の仕組みについては,下記の表2をご参照ください。

表2 特定技能外国人材はどのような形態で受け入れることができるか

農林水産省HPより参照

農業分野でなぜ派遣が可能なのか,またどのような条件で可能なのかなどについて,以下詳しくお伝えします。

なぜ派遣が認められるのか

農業分野は,天候などにより作業ができなかったり,季節による作業の繁閑が生じるのが通常です。また,同地域・地区内であっても,作目によっては,収穫時期や定植等の農作業の繁忙期,ピーク時が異なるといった特性があります。そのため,農繁期で労働力の確保や複数の産地間での労働力の融通といった農業現場のニーズに対応する必要がありました。
そこで,年間を通して繁忙期,閑散期があるので,労働者に安定的に仕事を与えるために,農業分野には特別に派遣が認められることとなりました。なお,特定技能で派遣が認められるのは,農業分野と漁業分野のみです。

派遣事業者の要件

特定技能外国人を雇用し,農業者に派遣を行うことができる派遣事業者の要件は以下のとおりです。
(出入国管理法にかかわる法務省令(特定技能基準省令第2条第1項 第9号)に規定されています。)

派遣事業者は,以下のいずれかに該当し,かつ,法務大臣が農林水産大臣と協議の上適当と認められる者であることが必要です。

  1. 農業又は農業関連業務を行っている事業者

  2. 1又は地方公共団体が資本金の過半数を出資している事業者

  3. 1又は地方公共団体が業務執行に実質的に関与していると認められる事業者
    (1の役職員又は地方公共団体の職員が役員となっている等)

  4. 国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する特定機関
    (国家戦略特区で農業支援外国人受入事業を実施している事業者)

※「農業関連業務を行っている事業者」に該当しうるもの
(例)農業協同組合,農業協同組合連合会,農業者が組織する事業協同組合等

特定技能外国人を派遣する派遣先(受入先)の要件

特定技能外国人を派遣する派遣先(受入先)についても,次のいずれにも該当することが求められます。

  1. 労働,社会保険及び租税に関する法令の規定を遵守していること。

  2. 過去1年以内に,特定技能外国人が従事することとされている業務と同種の業務に従事していた労働者を離職させていないこと。

  3. 過去1年以内に,当該機関の責めに帰すべき事由により行方不明の外国人を発生させていないこと。

  4. 刑罰法令違反による罰則を受けていないことなどの欠格事由に該当しないこと。

農業分野特定技能の在留資格を取得するための試験

技能試験

「農業技能測定試験」
試験言語:試験実施国の現地語および英語が基本。業務上必要な日本語能力の確認をする問題については,日本語。
実施主体:一般社団法人全国農業会議所
実施方法:CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式

※具体的な試験内容などについては,実施主体HP(http://asat-nca.jp/)でご確認ください。
※①「退学・除籍処分となった留学生」,②「失踪した技能実習生」,③在留資格「特定活動(難民認定申請)」により在留する者,④在留資格「技能実習」を含め活動計画の作成が求められる在留資格で現に活動中の者,については,その在留資格の性格上,試験の受験資格を認めない。

日本語試験

(1)「国際交流基金日本語基礎テスト」
実施主体:独立行政法人国際交流基金
実施方法:CBT(コンピュータ・ベースド・テスティング)方式

(2)「日本語能力試験(N4以上)」
実施主体:独立行政法人国際交流基金および公益財団法人日本国際教育支援協会
実施方法:マークシート方式

技能実習2号を良好に修了した者の技能試験と日本語能力の評価

耕種農業職種3作業:施設園芸,畑作・野菜または果樹,畜産農業職種3作業:養豚,養鶏または酪農を良好に修了した者については,技能実習生として修習した技能と,1号特定技能外国人が従事する業務で要する技能は,作物の栽培管理,安全衛生等の点,家畜の飼養管理,安全衛生等の点で技能の根幹となる部分に関連性が認められることから,農業分野で必要とされる一定の専門性・技能を有し,即戦力となるに足りる相当程度の知識または経験を有するものと評価し,上記<技能試験>が免除されます。
また,職種・作業の種類に関わらず,第2号技能実習を良好に修了した者については,技能実習生として良好に3年程度日本で生活したことにより,ある程度日常会話ができ,生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価し,上記<日本語試験>が免除されます。

特定技能外国人を受け入れるために企業が準備しておくべきこと

特定技能外国人を受入れる「特定技能所属機関」は,下記の準備が必要です。

  1. 特定技能外国人材の受入機関として以下の基準を満たすこと

    ① 労働,社会保険及び租税に関する法令を遵守していること
    ② 1年以内に特定技能外国人材と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させていないこと
    ③ 1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により,外国人の行方不明者を発生させていないこと
    ④ 欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと
    ⑤ 特定技能外国人材の活動内容に係る文書を作成し,雇用契約終了日から1年以上備えて置くこと
    ⑥ 特定技能外国人材等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用契約を締結していないこと
    ⑦ 受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと
    ⑧ 支援に要する費用を直接又は間接に特定技能外国人材に負担させないこと
    ⑨ 労働者派遣の場合は,派遣先が①~④の基準に適合すること
    ⑩ 労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること
    ⑪ 雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること
    ⑫ 報酬を預貯金口座へ振込等により支払うこと

  2. 労働者派遣形態の場合,特定技能所属機関となる労働者派遣事業者は,以下のいずれかに該当し,かつ,法務大臣が農林水産大臣と協議の上適当と認められる者であること

    ① 農業又は農業関連業務を行っている事業者
    ② ①又は地方公共団体が資本金の過半数を出資している事業者
    ③ ①又は地方公共団体が業務執行に実質的に関与していると認められる事業者
    (①の役職員又は地方公共団体の職員が役員となっている等)
    ④ 国家戦略特別区域法第16条の5第1項に規定する特定機関
    (国家戦略特区で農業支援外国人受入事業を実施している事業者)

  3. 「農業特定技能協議会」の構成員となること

    特定技能外国人を初めて受け入れる場合には,特定技能外国人を受け入れた日から4カ月以内に協議会の構成員となる必要があります。
    また,協議会が行う情報の提供,意見の聴取,現地調査その他の活動に対し,必要な協力を行うことが求められます。

  4. 過去5年以内に労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験があること

※外国人を労働派遣により雇用する場合には,労働者を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験を有する者または派遣先責任者講習その他これに準ずる講習を受講したものを派遣先責任者として選任している者が当該外国人にかかる労働者派遣をすること
※派遣により外国人を雇用する場合には,派遣先は,協議会に対し,必要な協力を行うこと
※登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合にあたっては,協議会に規定する必要な協力を行う登録支援機関に委託していること

農業分野における特定技能外国人の受け入れについては,外国人雇用に精通した専門家にご相談ください。