外国人であっても日本で働く限り、労働基準法32条の規定を受けるため、原則1日8時間、1週に40時間を超えて労働させてはならないとされていますが、入管法に別段の定めがある場合は例外としてそちらが優先されます。
例えば、近年でいえば、大手外食チェーンや、コンビニなどで外国人が働いていることをよく見かけますが、彼らは就労資格のない「留学」または「家族滞在」の在留資格を持ったアルバイトであることが多いです。
「留学」及び「家族滞在」は原則として、就労が認められていない在留資格ですが、入国管理局で資格外活動許可を受けることで就労が可能となるため、多くの留学生が許可を得ています。
「留学生」は、あくまで教育を受ける目的で来日しているので、原則として就労不可なのですが、生活費を稼ぐ必要のある留学生が多いため、「資格外活動」の許可を受ければ、週28時間までであれば、風俗営業を除く就労が可能となります。学校が長期休暇の際は、1日8時間、1週40時間の就労が可能です。
資格外活動の許可を得ていない留学生を雇用した場合や、1週28時間以上就労させた場合は不法就労であると知らなくても不法就労助長罪に問われます。摘発されている事例も複数あるので確認と注意が必要です。
したがって、事業者は留学生をアルバイトとして採用する前に、資格外活動許可を受けているかを確認しなければなりません。許可を得ていない場合、不法就労になってしまいますので厳重注意が必要です。資格外活動許可を受けているかどうかは、留学生が有するパスポートの許可証印、または資格外活動許可書で確認することができます。
2018年3月には、熊本にも店舗があるラーメン店である「一蘭」が、大阪の店舗で法定時間(週28時間)を超えて留学生を働かせたなどとして、社長らが出入国管理法違反(不法就労助長罪)の疑いで書類送検されました。
雇用後は、外国人雇用状況届出書を管轄のハローワークに提出し、労働時間が週28時間を超えないように厳密に労働時間管理を行う必要があり、この労働時間の上限には、残業時間も含みます。「一蘭」は上記届出をせず、かつ上限時間を超過していることを知りつつ就労をさせており、不法就労助長罪の疑いで刑事罰を受けました。
不法就労と知らずに雇用した場合は処罰されないかというと、そうではありません。知らないことに過失がない場合を除き、処罰されることになっているのです。申告内容に虚偽がないことの宣誓書を取得したり、虚偽が発覚した場合には即刻解雇といった契約書の作成や、解雇の措置を取る必要があります。
既に外国人を採用しているが不安という方、留学生の採用を検討しているという方は、思わぬところで違法行為とみなされてしまう活動を行ってしまっている可能性もありますので、外国人の就労に詳しい弁護士にご相談下さい。
【参考文献】
外国人の雇用に関するトラブル予防Q&A
外国人雇用の実務 第2版
入管法の実務
はじめての入管法